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【フットサル界のおシゴト事情】 企業インタビュー vol.2 『オーダーメイドショップ「ブイイレブン」に聞いた ユニフォーム業界の革新と今後の可能性』

おそろいのユニフォームを着ただけで、自然とチームの一体感も増してくる。そんな経験はありませんか? スポーツ競技に不可欠なユニフォーム、実はここ数年で大きな変革期を迎えている業界の一つです。最新技術の普及により様々なデザイン、カラーバリエーションが可能となり、オーダーメイドで作るユニフォームは大きな進化を遂げました。そんな業界の中でも、独自の強みと流儀を持つオーダーメイドショップ「ブイイレブン」に取材を実施。代表取締役社長の成田さん・取締役の平賀さんお二方のお話から、業界が秘めた未来への可能性が見えてきました。

文◆中村麻衣子 写真◆長嶋良太

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■膨らみつつあるユニフォーム業界

 

――ユニフォーム業界が、ここ数年で大きく変わってきたそうですが。

成田「そうですね。我々はオーダーメイドで作って提供するオリジナルのユニフォームを扱っていますが、その作り方がここ数年で変わってきました。数年前までのユニフォームは、生地と生地の継ぎ目を縫い合わせて作るようなやり方が主流でしたが、今はどんどん『昇華型』と呼ばれるやり方が主流になってきています」

平賀「簡単に言えば昇華型というのは、縫い合わせでなく全部を染めて作るやり方です。大きな利点は、縫製の継ぎ目無くどんな色やデザインにも対応できること。従来だと生地の継ぎ目の上にインクを流し込むことができなかったんですが、今はカラフルなグラデーションなども可能になりました。ここ3、4年くらいの間によりユニフォームの自由度が広まってきているというのが、業界のひとつの傾向だと思います」

 

――ではここ数年で業界の規模も大きくなってきたんですね。

成田「規模的には膨れてきていると思います。いろんな業者さんが出てきていますし、ユニフォームの作り方にもいろいろ出てきています。そういう意味では盛り上がってきている業界だと思いますね」

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■会社の強みはタイのバンコクにあり!!

 

――膨らみ続ける業界のなかで、他社との差別化はどう図っていますか?

成田「ひとつには、うちはタイのバンコクに自社工場を構えていて、昇華式のやり方にも、もとから染色されたものを縫い合わせて作るいわゆるクラシックなやり方にもどちらも対応している点です。両方できて、さらにそれらをミックスしたようなやり方もできるのはうちのひとつの特徴ですね。あとはやはりスタッフのレベル。オーダーメイドで作る際には、お客様とのやりとりや提案力が一番大事になってきますから」

平賀「僕らの仕事は、いかにお客様のイメージを汲み取ってそれを形に近づけるかということにあります。お客様のイメージにできるだけ近いものを、もしくはそれ以上のものを提案としてご用意させていただくのが僕らの仕事です。いかにそのお客様一人一人に沿って仕上げていくか、それがやりがいの一つですね」

 

――そういうサービスレベルや提案力は、経験で身に付くものなのでしょうか。

成田「経験も大きいと思いますが、大事なのは想像力だと思います。お客様との対話から、何を作りたいのかをちゃんと汲み取って想像することができるかどうか。お互い歩み寄ってつき詰めていくことが大事ですね」

平賀「中には、1年はいかないまでも半年以上打ち合わせを重ねるお客様もいらっしゃいます。ただ、その分だけ満足いただけるものが作れるというのは、オーダーメイド業界の特色ですね。デザイン自体もずっと残してありますから、何年経っても1枚から追加で注文できるのはひとつの強みです。小さい会社だからこそ、少ない需要を拾っていくことを大事にしています」

 

――先ほどタイに自社工場を構えているという話がありましたが、自社工場を持っているというのはこの業界では珍しくありませんか?

成田「珍しいですね。オーダーメイドのユニフォーム会社の中では、自分たちの工場を持っているところは本当に数社しかありません。コストも下げられますし、なにより細かい対応がすぐにできるという点は一番のメリットです。他の工場に依託していると、どうしても伝達のレースになってしまって手間も時間がかかりますよね。直で現場とやり取りをして、細かい部分もどんどん反映していけるのは大きな利点です」

■「体感できる」ウェブサイトづくり

 

――立ち上げて最初の頃は苦労もあったかと思いますが。

成田「大変でしたね。でも時代が変わって、インターネットで物を買うことにあまり抵抗が無くなったのは大きいです。あとは節目節目に、ワールドカップのようなサッカー関連の大きな大会があったことも功を奏しました。日韓ワールドカップなどで世間から注目されるようになって、サッカー熱が高まると同時にユニフォームへの関心も強まったんです。ここ数年はフットサルも競技人口が増えて、広まりが見られます」

 

――顧客を確保するために、何か工夫したことはありますか?

成田「うちはインターネット販売が主流なので、どれだけ露出させられるか、いかに知っていただくかですよね。広告などにも段々力を入れていきましたし、ホームページもなるべくお客様が体感できるようなものにしようとやってきました。例えば、ユニフォーム作りのシミュレーションが簡単にできることも、うちのサイトの大きな目玉です」

平賀「お客様の中には『このユニフォームを形にしたい!』と明確なデザインを持ってくる方もいれば、『オーダーメイドで作りたいけど、まだイメージはあやふやで』という方も多くいらっしゃいます。特に後者の方のために作ったのが、そのシミュレーターです。色と形がカスタマイズできるので、具体的にイメージしやすい。実際、店舗に来て注文なさる方というのは、お客様全体の1割にも満たないんです。ほとんどの方がウェブで注文なさるので、いかにウェブだけで魅力を伝えられるかは大事な部分ですね」

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■被災地で大活躍だった、「ビブス」の新たな用途

 

――東日本大震災の際、被災地に数千枚のビブスを無償で提供したそうですね。

平賀「はい。始まりは、震災が起きて『自分たちにできることは何だろう』と考えたことでした。その時にタイの自社工場から連絡が来て、うちとまわりにある衣類の関連会社からぜひ日本に物資を送りたいと。そこで被災地にビブスを無料で提供することにしたんです。小さい会社だからこそ、その時の決断も早かった。地震が起きたのが金曜日で、もう翌週の月曜日にはタイから日本に送る話が決定していました」

 

――どうしてビブスだったんでしょうか。

平賀「被災地の避難所にはたくさんの人がいますが、その人が医者なのかボランティアスタッフなのか、はたまた現地の方々なのか、一見したところでは分からないですよね。ただでさえプライバシーの無い空間で何者なのか分からない人たちが大勢いるのって、それだけでもかなりのストレスだと思うんです。でも文字や色がついたビブスがあれば、上から羽織るだけで簡単にその識別ができますよね」

成田「医師やボランティアの方でも、勝手に人が入っていくと泥棒なんじゃないかと疑われてしまう。でもあらかじめ団体名の入ったビブスを着て『自分はこういう者です』と外に示すことによって、被災地の方々も安心して受け入れてくれるわけです。そういうところに価値があったんですね」

 

――配布は問題なく行われたんですか?

平賀「その時は情報網が遮断されて電話もほとんど繋がらない状況でしたが、なんとか仙台市社会福祉協議会さんと連絡がつきまして。そこからSNSなどで拡散のお願いをして広く呼びかけたところ、予想以上に大きな反応がありました。それで大勢の方々のご協力のもと、当初は2000枚の無償提供の予定だったのを、実際は合計7200枚ほど提供させていただきました。それから現在でも自治体や企業さんを問わず幅広く防災の役目としてビブスが広がっています。ビブスは簡単に使えて簡単に備蓄もできるものですし、まだまだ需要は底知れない。今後に備えて広めていくことも、僕らの会社のやるべきことのひとつかなと思いますね」

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■オーダーメイドの楽しさを広めたい

 

――どんな時に、仕事のやりがいを感じますか?

成田「いっぱいありますが、一番はお客様にお渡しして『ちゃんとできているね』とか『ありがとう』と喜んでもらえた時ですね。どんなに少ない枚数でもお客様の作りたいという希望に応えてあげたい、という思いが根底にあります。オーダーメイドというと、やはりかしこまったようなイメージがあると思いますが、それをなるべくお手軽なお値段で提供して実際に着用してスポーツを楽しんでいただきたいなと。スタッフもそれを心に留めて仕事をしています」

平賀「僕も成田とおおもとは一緒です。お客様が自分たちの作ったユニフォームを着て喜んでプレーしてくれる、それって最高ですよね。自分もずっとサッカーをやっていたんですが、ユニフォームって気持ちがガラッと変わるじゃないですか。モチベーションも変わるし団結力も上がるし、はくがついたような気もする。友達同士なら『自分たちのオリジナルなんだよ』ってちょっとした自慢にもなりますよね。お客様にそういう楽しさを知ってもらえたら嬉しいです。そのためにいかにお手軽に、品質と価格に見合った商品を作れるかが僕らの一番の腕の見せ所であり、やりがいですね」

 

――今後のビジョンとしては、どんなことを構想していますか?

成田「サッカーユニフォームに終わらない、そこだけにとどまらない分野も広げていきたいと思っています。それは他競技のユニフォームかも知れないしアパレル系かも知れないし、まだ具体的に決めているわけではありませんが、何か他の商品も広げていきたいなと。たくさんの人にオーダーメイドで楽しんでいただくために、皆さんの身近なところまで入り込んでいけたらなと考えています」

平賀「サッカーやフットサルだけにこだわるつもりはありません。実際ラクロスとかドッジボールとか、あまりメジャーではない競技でもオーダーメイドで作りたいというお客様は実際にいらっしゃいます。そういった需要はなくならないと思いますし、そこはどんどん突き進むべきかなと。色んな競技で、少数ロットでもお手軽にオリジナルのユニフォームが作れるんだというのを広めていきたいなと思います」

 

――この業界に入りたいという人は、具体的に何をするのが近道なのでしょうか。

平賀「具体的に正解があるわけではないので難しいですが、僕の場合のお話をすれば、大学4年の時にアルバイトでこの会社に入ったのがきっかけでした。もともとサッカーが好きだったので、サッカー業界で働いてみたいなと考えてアルバイトを探して。そこからちょうど姉妹店を出すというタイミングで、正社員になった背景がありますね」

 

――こういう業界は正社員募集を出しているところが少ないですよね。バイトからそのまま社員になるというのが、一番近道だと。

平賀「そうですね。うちの会社も新卒を採っているわけではないので。学生の視点で言えば、バイトからという道は結構王道だと思います。要は行動力かなと」

成田「なにかしらお手伝いなどでコミットすることは大事ですよね。関係を作っていかないと始まらないですから。あとは、その方にどれだけの目標があるのか。それによってまた関わり方も変わってくるのかなと思います。例えば『デザイナーになりたい』という人ならば、最初からこの業界でなくとも、違う業界でアパレルを学んでから転職してきてもいいわけですよね。どこに目標を置くかで、道も変わってくるのかなと思います」

 

――では最後に、お二方にとって、フットサルとはなんですか?

平賀「一緒に成長していきたいものですね。フットサルとユニフォームが、一緒に世間に広まってほしい。フットサルが認知されることによって、ユニフォーム業界もどんどんオリジナルが主流になっていければと思います。フットサルって、この10年くらいで競技人口も爆発的に増えたじゃないですか。社会人チームもたくさんあるし、フットサルってすごく垣根の低いお手軽なスポーツだと思うんです。フットサルの広まりとともに、チームで手軽にユニフォームを作るようになっていければなと思いますね」

成田「僕にとってフットサルは、自分を広げてくれるものかなと思います。いろんな方とお会いできるもの。うちの会社はサッカーが母体としてあったんですが、最近はフットサルがすごく盛り上がってきて、そのおかげでたくさんの出会いがありました。こういう出会いに感謝したいなと思います」

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◆成田憲泰(写真左)

株式会社アドリベラル代表取締役社長。もともとウェブの制作会社から転職してこの業界に入り、ノウハウを生かして「体感できる」ウェブサイトでオーダーメイドショップを運営している。

◆平賀智行(写真右)

株式会社アドリベラル取締役。サッカーが好きでサッカー業界で働きたい、という理由からアルバイトとしてこの業界に入り、正社員へ。その行動力から「熱意型」と自分でも評する。

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【フットサル界のおシゴト事情】企業インタビュー vol.1『コスタ横浜の人気店長が教えるフットサルコートビジネスのノウハウ』


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