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「フットスクエア森田店長の日々徒然」アルバイト審判に求められる資質とは?(10)―キックインの進め方についてお話します

こんにちは。森田です。

先日3歳になる甥っこと「アナと雪の女王」を観まして、ちょっとばかり「アナ雪」にハマってしまうという症状を患いました。で、この焼けるように日差しの強いピッチの上で審判をしていると、合間の時間で若い審判の子達に「あー少しも寒くないわー」とか言いたくなっちゃうのですよ。何回も。3回くらい言ったところでみなさんの体感気温がちょうどよくなるっていうね。


(10)―キックインの進め方についてお話します

アルバイト審判についてお話させていただくのも今回が10回目となり、ここまで続けられてきたことをとてもありがたく思います。今まで続けてきたものの中では、これは全く的外れであったなと自認しいるような話題もあるわけですが、あーネタがないなーと悩む中で、あ、これが抜けてちゃいかんというものがあったのでお届けしたいと思います。

それは、フットサルがサッカーと最も異なる点のうちのひとつであろう、ボールがタッチラインの外に出たときの再開方法であるキックインであります。

当施設でも今日からフットサルの審判を始めます、というアルバイトの子には開始前に座学の時間をとっていますが、キックインには最も時間を割いています。その理由は以前にこのコラムでも説明したとおり、審判がプレー中に行う判断のうち実に30%がキックインに関する判断であるからです。


キックインの基礎知識

どの順番で話すのがいいのか非常に悩ましいなと思いながらも、まずはキックインにまつわる基本的なルールを以下にご確認いただきたいと思います。

 ・キックインで再開するとき
   ―ボールがタッチラインを越えたとき
   ―ボールが天井に当たったとき

 ・キッカーの違反となるとき(ファウルキックイン=相手のキックイン)
   ―前のプレーでボールがタッチラインを越えた場所でなく、タッチライン上の別の場所からキックインを行う
   ―ボールを静止させないでキックインを行う
   ―ボールをタッチライン上、またはタッチラインから25cmのピッチ外の場所に置かずにキックインを行う
   ―軸足をピッチの中に入れてキックインを行う
   ―ける準備ができてから4秒以内にキックインを行わない
   ―蹴られたボールがピッチの中に入らない

 ・相手競技者の違反となるとき
   ―ボールから5m以上離れない

初めてフットサルの試合に臨む方は、「なんでキックインひとつでこんなにたくさんあんだよ」「いいからとりあえずやってみようぜ」となりがちです。まぁこちらとしてもそのくらいのつもりではあるのですが。

フットサルの競技レベルが上がれば上がるほど、キックインなどでプレーが切れる頻度は少なくなると思われるのですが、ビギナーレベルではキックイン自体の回数も多く、ルールを理解していない方も多いという状況の中で、ルールをご存知で違反を指摘するプレーヤーがそれなりに存在するという、これまたワンデイフットサル大会特有の難しさがキックインにはあるわけです。


キックインの判定

ではまず、キックインになるかどうかの判定、つまりはピッチの外に出たかどうか、天井に当たったかどうかの判定についてです。

コラム-6-1_02.jpg

①ピッチの外に出たかどうか

タッチライン、ゴールラインは「ピッチ」と呼ばれる空間に含まれますので、各ラインの外側の際がピッチ内とピッチ外を分ける境界であります。そして、「ボールがピッチ内にある状態」とは、微かでもボールの一部がピッチ内の空間に存在していることです。ですので図のように少しでもボールがラインにかかっていれば、ボールの大半はラインの外側に出ていても「ボールがピッチ内にある状態」であり、完全にラインから離れて初めてボールはピッチの外に出たことになります。

もしボールがピッチの外に出たのにピッチの中に戻りプレーが続いてしまう場合は笛でプレーを止めます。また、ライン際でボールがピッチの外に出ないときでと似たようにピッチの中に戻った場合、笛で意思表示はできないので、『出てませんよ、続けてください』と声で伝えてあげる必要があります。

いざボールがピッチ外に出たら、最後にボールに触ったチームの相手ボールでキックインを行うわけですが、ボールがライン上を動きながらピッチ外に出た場合などは、ライン上の出たポイントがわからないため、『ここからキックインしてください』と教えてあげるといいと思います。違うポイントからのキックインはファウルキックインとなってしまいますが、ポイントがわかりにくい場合は齟齬を減らしてあげることが大切です。

②天井に当たったかどうか

これは施設によって状況は異なると思いますが、だいたいが当たったかどうかわかりにくいので笛で試合を止める必要があると思います。また、ゴールライン際の天井に当たった場合どうするかという議論を見かけたことがありまして、これはあくまで私見ですが、天井がなければゴールラインを越えるようなボールはゴールクリアランスもしくはコーナーキックで問題ないかと思います。天井の判定って審判としては目線をいちいち上げなければいけないのが負担ではありますけどね。


キックインの進め方のポイント

ひと試合の中で何回もあるキックインがトラブルの種になることは最も避けたいところであります。ここではそうならないよう、スムーズな進め方を解説いたしたいと思います。

コラム-6-1_05.jpg

①相手競技者の距離を離す

キックインを行うチームの相手競技者は、ボールから5m離れなければなりません。実際的にはボールがピッチの外に出て転がっている時間には、すでにどこからキックインを行うかが決まっているので、相手競技者がどの位置に離れなければならないかというのはすでにわかっています。可能であればキックインを行う場所に立って、まずは『5m離れましょう』と「案内」することができるとベストです。

キッカーがボールを持って準備ができた状態になると、4秒以内にキックインをしなければならないのでカウント始めますが、相手競技者が5m離れていないと準備ができた状態にはならないので、カウントが始められません。この段階でまだ相手競技者が十分に離れていなければ『5m離れてください』と「注意」します。

この段階ではどこが5mなのかということがポイントになりますので、ピッチ上のマーキングなどで見当をつけておくといいかと思います。

「注意」でも相手競技者が離れない場合、フリーキックと同様に笛を吹いて試合を止めた上で5m離れた場所まで移動し『ここまで下がってください』という対処をしてもいいと思いますが、その際はキッカーがキックインをする意思がないことを確認してクイックリスタートを邪魔しないように気をつけます。

また相手競技者が「規定の距離を守らない」ときは警告の対象でありますが、基本的にはここまで一連の対処をした上で、それでも守れない場合に限った方がいいのかなと思います。ここまでした後に相手競技者が近くに寄ってきた場合は、その競技者を警告しなければならず、そのすぐ後にキックインがスタートされていたならば、キックインはやり直します。

反対に相手競技者がしっかり離れているにもかかわらず、審判に相手を離すように主張するキッカーもいますが、そういうときはしっかり『相手は離れているので始めてください』と言葉で伝えます。そこまですれば4秒のカウントを始めることになりますので、キッカーはキックインをせざるをえません。

※クイックリスタートをする場合

実際はクイックリスタートの方が多いんですけどね。特に相手競技者がしっかり離れていなくてもキッカーはキックインができます。違反をしているのは相手なのでそれを理由にキッカーの始めたいタイミングで審判が試合を止めるべきではありません。

審判としては、相手競技者に離れるように促しながらもキッカーがキックインをクイックリスタートするかどうか様子を探っておく必要があります。キッカーがキックインをするようなら、素早く目線を相手競技者からキッカーに移し、③・④の判断をできるようにします。

5m以内にいた相手競技者がクイックリスタートを妨げた場合はその競技者を警告しますが、やはりその前に距離をとるように素早く「案内」もしくは「注意」がされていれば相手競技者も警告される納得感につながります。(この場合「規定の距離を離れない」であるとともに「反スポーツ的行為」での警告ですのでボールに触れなくても妨げたのであれば警告します)

②4秒のカウントをする

キッカーはける準備ができてから4秒以内にキックを行わなければいけないわけですが、この「ける準備」がいつなのかというのは事あるごとに議論の対象になるわけですね。その話をしている暇はないので、経験則的にはキックインをするポイント周辺にボールがあり、その場所にキッカーがいれば「ける準備」ができたとして問題ないかと思います。

注意しなければならないのは、それとは違うタイミングが「ける準備」だと思っているプレーヤーもいるということで、そのように感じたときは『カウントを始めます』とひとこと言ってからカウントを始めてあげるといいと思います。

また審判は腕を頭の上にあげて4秒のカウントをするわけですが、「ける準備」ができた時点は「ゼロ秒」なので、「グー」の状態でスタートしてから「1秒」「2秒」「3秒」「4秒」とカウントし、「4秒」と同時に笛をならしてファウルキックインを伝えます。

③ボールの状態

まずキックインをするときはボールは静止していなければいけません。ただ当施設などは屋外なので強風のときなどはどうしてもボールが動きますので、そういうときは「ボールを手でしっかり止める動作があればOK」としています。また足で止める動作自体は問題ありません(というように東京FAの見解は固まっていると存じておりますが)。ただ強風でボールが動きやすいときなどは、相手が惑わされてしまうことを思えば、『手で止めてください』と伝えるべきかと思います。

さらにボールはライン上もしくはタッチラインから25cmのピッチ外の場所に置かれている必要がありますが、そのことを知らずにピッチ内にボールを置いてしまっているプレーヤーなどには、キックする前に声をかけて教えてあげても問題ないと思います。ただ、クイックリスタートの場合などはしっかりファウルキックインとしなければなりません。

④キッカーの軸足

キッカーの軸足はピッチ内に完全に入ってしまったらファウルキックイン、少しでもラインを踏んでいるかピッチ外にあれば問題ないです。

しかし軸足がピッチ内に入ってしまうケースは角度のあるキックインの場合がほとんどなのです。以前の競技規則ではボールを置く位置はタッチライン上のみでしたが、その後ライン上だけでなくてタッチラインから25cmのピッチ外の場所にまでボールの置く位置が広げられました。これは、軸足をピッチ外において角度のあるキックインがやりづらいからであります。

ですので軸足がピッチ内に入ってしまいそうなときにキッカーが悩んでいたら、『ラインの外側においても大丈夫ですよ』と教えてあげてもいいと思います。

⑤ボールがピッチに入らない

ここのルールは、ボールの置かれた位置がピッチ内かピッチ外かで対処が分かれていてルールとして少し混乱をきたしたところではありましたが、2014/2015フットサル競技規則からは、ボールがどこに置かれていても蹴られたボールがピッチに入らなければファウルキックインであり、相手チームのキックインで再開するというように統一されました。よかったです。


②〜⑤のファウルキックインの場合は即時に相手のキックインを行うこととなります。蹴られたボールが相手チームのチャンスに変わっていても、アドバンテージの考え方は適用されずに、相手チームはキックインからスタートします。


このステップをスムーズに

こんだけ長く書いてしまって何を言うんだと言われてしまいますが、キックインはこの5つのステップをスムーズに行うことができれば、ほとんど不自然にそこで試合が途切れることはなくなります。これができれば初めての審判も1日で半人前といえるところまでになるでしょう。

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このコラムの感想を周囲に伺うたびに、「長い!」という意見を多く頂くので、簡単に説明できるトピックを選んだつもりが、不本意にも長めになってしまいした。反省しております。このままでは完読率が0.2%とかになってしまう気がするので、そうならないように頑張ろうと思います。分母がそんなにねーだろというツッコミを待ちつつ...。

最後までお付き合いいただき誠に御礼申し上げます。次回もよろしくお願いします。

☆これまでの連載記事はこちら☆
(1)―レベルの低いフットサル大会は審判のレベルが低くても大丈夫?
(2)―ワンデイ大会の参加チームは選手?お客様?
(3)―アルバイト審判が誤審しました!どーする?
(4)―ゲームをコントロールする
(5)―サッカーの審判とフットサルの審判、どっちが大変?
【W杯直前】―フットサル審判からみる「ゴールラインテクノロジーが迎える初のワールドカップ!」
【W杯直前】―審判のジャッジとコミュニケーション
(6)―ワンデイフットサル大会がそもそも抱えている困難
(7)―審判の判断力について
(8)―審判員のポジショニング
(9)―フィジカルコンタクトを判定する

■著者プロフィール■

森田 真一 1979年生まれ。紆余曲折あったあと、2009年12月からフットスクエア江東・森下ショップリーダー(店長)。
Twitter:
@Shinichi_dingo (森田 真一)
@FOOTSQUARE_mori (フットスクエア江東・森下)
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