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「フットスクエア森田店長の日々徒然」アルバイト審判に求められる資質とは?(7)―審判の判断力について

こんにちは。森田です。

日本代表のワールドカップが終わっても日々はこうして続いていくんだなというセンチメンタルに見舞われる今日この頃です。


(7)―審判の判断力について

常日頃アルバイトの子達と審判をやっていまして、上達のためにいろんなかたちで講習みたいなことをやっているわけですが、何をどうやったらうまく伝わるものかを悩みつつ手を変え品を変え時間を見つけてやってみています。そこで、完全にノウハウの流出となってしまうのですが、今日はこれからの講習で使おうと思っていた資料をここでお話してしまおうと思います。テーマは審判の判断力ということでお送りいたします。

判断力の構成

ひとえに「判断力」ということを突き詰めると実際きりがないほどたくさんの考え方が世の中にはありますが、今回は審判に必要な「判断力」を考えるために簡単に3つの要素に分けて考えてみたいと思います。

・インプット(認識する)
・判断(判断基準)
・アウトプット(判定する)

なぜこの3つに分けたのかといいますと、試合の中でたくさんの判断を審判は行っていて、意識する意識しないに拘わらずこの3つは必ず判断することに伴うからであります。言い方を変えれば間違った判断、質の悪い判断というのはこのどこかに足りない部分があり、良い判断はすべての要素を満たしていなければならないとも言えます。加えて、審判にとって重要なのは、この3つのプロセスを正確に素早く行わなければならないということで、この「正確さ」「素早さ」は普通の世間一般に「判断力」という際にはなかなか想定されていないので、通常の「判断力」とは一線を画すものであると思います。

ここではあくまでもアルバイトの審判でフットサル大会をやっていく上で、これらの見方が必要だという立場でお話を進めさせていただきます。

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インプット(認識する)

人間の知覚の80%は視覚といいますから、基本的に重要なのは「視る」ことです。視えていないことは判断できません。アルバイトの子の動体視力や視野の広さを伸ばすというのはなかなか即効性のある対策は考えにくいかとは思いますが、ボールを目で追う能力もしくは人を目で追う能力、またはそれを同時に行うということは慣れと訓練が必要だと考えておく必要があるものだと思います。ときおり、「視る」ことそのものが苦手なアルバイトの子には、試合を外から見ながらどちらのチームのボールかを見てもらって慣れてもらうということをしたりします。

単純に動体視力などの能力を伸ばすことはすぐにはできませんが、ある程度すぐにできることとして適切なポジショニングを覚えることは優先順位の高いスキルだと思います(2審制)。競技規則で指示されているポジショニングを行うと、視野は狭い範囲でボールも人も収まることになります。

ボールと人を視ることに慣れてきて、適切なポジショニングで視野を確保することができるようになったなら、意識を高めるという意味でも視野を広げるトレーニングや動体視力を高めるトレーニングなどを行ってもいいかもしれません。


・判断(判断基準)

フットサル競技規則第5条にあるとおり、「主審・第2審判は フットサル競技規則を施行する。」わけでありますから、それ以下のことは考えられないということが第一です。これはペーパーテストなどを行うことも有効ですが、細かい部分などはその都度問答しながら覚えてもらうことが最優先でしょう。

ただ、フットサル(サッカーでも然り)にとって競技規則というものは、そこに書いている一字一句の通りに施行したところで、うまくゲームをコントロールできるかというとそうでもないが簡単ではないところです。


審判仲間のあいだには、昔からこのように言われてきました。「17条の次に、"18条=コモンセンス"という条文がかくされている」コモンセンスは一般的に「常識」と訳されますが、サッカーでは「共通理解」と訳すといいと思います。サッカーの長い歴史を通して、数えきれないほど多くの選手、観客、審判たちが共有してきた、「サッカーとはこういうものだ」という考え方のことです。

『ポジティブ・レフェリング―ファウルが減る! ゲームがおもしろくなる! 驚きのサッカー審判術』松崎康弘


実際のところはどういうかたちで相手に接触したらファウルで、別のかたちならファウルではないということは競技規則に書いていないわけで、特に「競技者が次の7項目の反則を不用意に、無謀に、過剰な力で犯したと主審・第2審判が判断した場合...」という書き方などは、競技規則が審判に「コモンセンス」を要求しているように感じます。

「コモンセンス」を身につけるには絶えずケーススタディを繰り返すことと経験を積むことだとは思いますが、完全なる「コモンセンス」が存在しないというのもまた事実でありますので、フットサルやサッカーにまつわる様々なエピソードを共有していくのも大事なのかもしれません。


・アウトプット(判定する)

今までこのコラムではコーチングやコミュニケーションなど、この辺の話題が中心だったかのように思います。そもそも選手から見た審判というのは判定する人そのものであって、その振る舞いこそが審判なのであります。どのようなインプット(認識)があって、どのような判断があったかというのは選手からは見えないわけです。もちろん競技規則にはホイッスルやシグナルは規定されているのでその内容を覚える必要があるのは当然のこととして、ゲームを通してひとつずつの動きが見られているという意識が大切です。

簡単な注意をするのにもたくさんのパターンがあり、どういう方法がベストなのか?という考え持ってもらってほしいものですし、競技規則を守った上で人と人との信頼関係を築くためにすること判定することにプラスアルファされるように仕向けていきたいと思っています。


・「正確さ」「素早さ」

審判にとってwait&see(ウェイトアンドシー)という言葉があります。例えばファウルがあっても直ちに(0秒で)ホイッスルを吹くのではなく、ファウルされたチームのチャンスが広がるかもしれないとアドバンテージの可能性を探るために状況を見ながら待つ、もしくはシミュレーションなど似たような状況でも別の判定をしなければならない可能性を探りつつ待つ、その間はとっても1秒と言われています。

この1秒の間に審判は、インプット→判断→アウトプットというプロセスをその場で数回繰り返す必要があるということで、未熟な審判には決して長いものではないわけです。しかし(実際は見えていなければどうしようもないのですが)このプロセスを1秒の間に繰り返すほどにある程度の判断の精度が保たれるということになります。

審判技術としての「判断力」の向上という面からもこの3つの要素という捉え方は有効なのではないかと考えます。


とまあ講習の資料を公開してしまったものの、これをアルバイトの子がどういった風に理解してもらえるかはまだわからないのでありますが、面白おかしく読んで頂ければ光栄です。

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長くなってしまったので無駄話は避けたいところではありますが、ワールドカップも終りを迎えつつある中でブラジル代表のネイマール選手が出場できなくなってしまったのは誠に残念な話ではあるのですが、当該の場面で渦中のベラスコ主審はしっかりアドバンテージのシグナルは出していたものの、「飛びヒザ蹴りにイエローでねえのはおかしいじゃねえか」とか「主審がゲームをコントロールしないからケガ人が出たんだろ」みたいな非難や罵声には、同じ審判として背筋が凍る響きがあります。

判断基準への考え方はあれど後半40分までそれなりにまとまっていて審判としてはいいゲームであったものが、その瞬間から音を立てて崩れゆくのを眺めていると悲壮感をもよおしてしまうわけですが、このように感じるのは同じ審判ならではと思いつつも、こういう審判の視点がもっと共有されれば審判に対する理解も変わるのかなとも思うのです。一方で、こういう事象を経てサッカーからボディコンタクトがなくなるかといったらなくならないわけで、今回もワールドカップを中心に、賞賛や栄光の裏で飛び交う避難や罵声もその一部である、サッカーという100年を越える物語に思いを馳せるのであります。

最後までご清聴ありがとうございました。次回もよろしくお願い致します。

■著者プロフィール■

森田 真一 1979年生まれ。紆余曲折あったあと、2009年12月からフットスクエア江東・森下ショップリーダー(店長)。
Twitter:
@Shinichi_dingo (森田 真一)
@FOOTSQUARE_mori (フットスクエア江東・森下)
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